私は、我が子の教育において、「内面的な学習」を大切にしています。内面的な学習は、
学校の成績に表れづらく
すぐに結果として出て来ず
見えないもの
です。
しかし、知識、理論、視点によって「見える」ようにもなります。さらに、子供たちの内面の学習を大切にし、育み、守っていくことが必要です。
見えるようになったら、自分の軸を持って、他者には見えない(往々にして、学校の先生には見えない)学習者の成長・学習を守ってあげることが必要です。
運動神経が悪いと思われた理由
究極的には、学習は、個人の内面で起こる変化です。これは、外から観察して、わかる場合と、わからない場合があります。
私は、よく母親に「ボーッとしている」「鈍臭い」と言われました。また、運動ができないと思われていたようです。私の友達も、似たような印象を持つ人がいました。
ところが、一緒にスポーツをしている友達は、全く違う印象を持っていました。
実際、高校の時の体育の成績は5(最高点)でしたし、高校でのアメリカンフットボールでは、2年生からついたポジション(レシーバー)で、すぐにレギュラーになり、チームで一番ボールをキャッチして、走った人間(リーディングレシーバー)として、他校からマークされました。
社会人になってからも、独学でスキーを学び、2級を持つ後輩に、「自分よりも上手だ」と言ってもらったり、ゴルフも野球などの経験が全くないにも関わらず、腕の力を使わず、股関節の可動で体を回転させて打つことを、早々に覚えました。
ちなみに、バランスボールは、最初から安定して両足を離して乗れましたし、ロードバイクのターンも、すぐに習得できました。何年も乗っている人みたいと評価してもらえました(乗り初めて3ヶ月ぐらい)。
このように客観的なデータ(?)から考えると、運動ができないよりは、できる側だと思います。しかし、評価は二分されていました。
このギャップは、「内面で起こる学習」と「外面で観測できるもの」の違いにあります。
考えて、実験して、チャレンジすることを挫く教育が多い
私は、考える子供でした。いちいち考えて、あれこれ推測して、行動、実験をする子供でした。
練習中も、基本的に実験の連続です。イージーにキャッチできるボールをただキャッチすることを繰り返すのではなく、わざと難しいシチュエーションを作ったり、コースを変えたり、あれこれしてました。
小学生の頃も、いちいち考えていたので、練習では出遅れたり、失敗することが目立ちました。
このような様子を見ていると「運動ができない」と見られます。しかし、それらの実験、チャレンジは、本番では成果として現れます。高校では、練習中はミスしまくるのに、本番や、実力を図るときはノーミスという状況でした。
しかしながら、往々にして、このような見えない学習をしている人を支援しない教育環境が多いです。
私の場合だと、
運動が苦手とラベリングされたり
学校の成績が悪い(実力テストでは、学校内で5本の指に入ったりしてました)ので、真面目に勉強しろと言われたり
先生の書いたものを、きちんと書き写せ(私は、私が理解するためのノートをつけていました)
などと、内面の学習を邪魔するような圧力を何度も何度も受けました。しかしながら、性格が曲がっている(笑)せいで、無視しました。
アドバイス通りにやっても上手くかいず、自分のやり方(実験、探求、仮説検証)なら、自分で何をやっているか把握できて、伸びていくので、自分のやり方を貫くことにしました。
また、母(運動できないとラベルを貼った張本人ですが)が、「あなたの学び方は、いい感じ。もっと自由にどうぞ!」と言ってくれたのが大きかったと思います。
外面に現れない、内面の学習の重要性
このように「内面で起こる変化(成長)」は、すぐに「外面(成績や、行動)」に現れることはありません。
しかしながら、「長く内面で根本的な変化を起こし続けることで、外面で大きな飛躍を遂げること」があります。自分で考え、自分で情報を集め、自分で練習計画を立てて、やってみて成長の喜びを味わうなどの行動は、内面にはたくさんの変化が起こり、やがて、特定の科目やスポーツ以外にも、大きな影響を及ぼします。
このような学習は、長い時間を必要とします。また、長い時間かけて、鍛錬したからこそ、他の分野での応用ができます。
逆に言えば「短期間では達成できないこと」です。
一方、外面にすぐに成果が現れやすいものは、一見良さそうに見えますが、ハウツーが提供されていない分野になると、学べませんし、進めません。学習者本人が、外面的な成果で測る癖がついていると、なおさら「進んでいない」と感じてしまいます。
そして、短絡的に結果を求めて、内面的な学習、深い学習を起こさず、すぐに結果が出ることばかりすると、行き詰まったりします。
外面的な学習は、もう十分ある
どの教育方法が良いかは?目的に依存するので、どちらが正解とは言えません。いわゆるノウハウが悪いとも思いません。優れたノウハウは、人類共通の資産だと思います。
しかし、ノウハウは豊かな土台にこそ、しっかりと定着するし、多種多様に習得が可能です。従って、学校教育や、家庭教育においては「内面重視」で良いと考えています。
つまり、教える側は、
外面的な変化と、内面的な変化には、ギャップがあること
長期的に大きな成長をさせたいなら、長い内面の変化を必要とすることがあること
を肝に銘じた上で
内面の学習をみる目を持つこと
内面の学習を促進する介入を行うこと
が大切です。
さらに必要なことは、「学習者本人が、自分の内面の成長、学習に注意を向け、感じられるようになること」を支援する必要があります。
ラーニングの理論とは?
toiee Lab の学習理論は、上記のようなアプローチが当然だと考えられるような理論となっています。今後、詳しく、あれこれ書いていきます。
お楽しみに!