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趣味としてのコーヒーを通じて、ラーニングを学ぶ第2弾を始めていきます。
趣味としてのコーヒーとは?
ワインの場合、単なる飲み物だけでなく、趣味としてのワインが存在することを知っている人は多いと思います。
ワインは、産地、熟成度、作成方法、ワイナリーによって、細かな味わいが違います。さらに、料理や、その日の気分にぴったりのものを選び、食事や、ちょっとしたひと時を豊かにするものです。
ワインに精通していくことは、「趣味の領域」です。
コーヒーもワインのように、産地、製法、入れ方(引き目、ドリップの仕方、温度、量)、器で味わいが大きく変わります。コーヒーは、ワインのように何年も保存しないので、季節の移り変わりで飲める豆が変わったり、今年の豆を楽しんだりします。
趣味としてのコーヒーの世界は、奥深いですが、以下の2つを学ぶことで、その入門が可能です。
ドリップ技術(コーヒーを入れ、味わいを作る)
味覚(複雑な味を感じられるように鍛える)
趣味としてのコーヒーを通じて、ラーニンングを学ぶ講座では、上記の2つに取り組んでいきます。
ラーニング視点を持とう!
私がコーヒーの専門家で、コーヒーをドリップすることを教えてることが仕事ならば、すぐに「どうやって入れたら良いか?」を解説しますが、私の専門は、ラーニングです。
この記事、そして、実際にドリップノウハウをお伝えするところでも、常に「ラーニング」に注意を向けてもらいます。
コーヒーを通じて、ラーニングの理論、ファシリテーション、デザインを学ぶことで、コーヒーが素早く上達するだけでなく、趣味としてのコーヒーの奥深い世界へ入っていけます。つまり、私が教えた以上に、あなたは学べるようになります。
そして、この体験を通じて「ラーニングデザインされた教育」の楽しさや、効果や、その後の副次的な効果(学び続けられる、他の分野にも活用できるなど)を体験していただきたいと思います。
そして、もし、あなたが「ラーニング」を広げたい!と思ってくれたら最高です。
抽象度の高い、ラーニングに関する講座を開催してくれる方を養成して、どんどん広げたいと思っています。
さて、前置きは、これくらいにして、趣味としてのコーヒーのラーニング分析していきます。
FARMで分析する
toiee Lab では、ラーニングデザインをする際、「FARM」呼ぶフレームワークで分析を行います。
FARMは、農業を連想させます。ラーニングは、無理やり学習者に何かを飲み込ませたり、工場で計画に従わせて、標準化された製品を作る物とは違い、種である学習者の環境(学ぶプロセス、情報、知識)を整え、学習者の内面を活性化させることで、学習が行われることを目指します。
一人一人、違うプロセスや、タイミングで、様々なことを学ぶことを良しとします。もし、ワークショップなどで複数人で一緒に学んだ時、それぞれが感じることや、学ぶ得たものが違うことを当然とし、むしろ良いこととします。
それら違う気づきをお互いに教えあったり、シェアすることで、学習が深くなるように講座を設計したりします。
FARMは、以下のようになります。
Formula : ノウハウ、方法論、型
FARMの「F」は、Formula を表します。通常、教える側は、その分野の専門家であり、専門的な知識をもとに、何らかの型や、ハウツー、プロセス、方法論などを確立しているはずです。
どのような型があるかを分析することから始めます。
コーヒーの場合は、
ドリップの入れ方(今回は、粕谷さんの4:6メソッドを使う)
道具を揃えることで「腕だけの問題」とする
味わいの共通認識(プロが認定したフレーバーなど)
などになります。
Adaptive : 複雑適応系(さまざまなレベルでの学習の活性化)
Adaptiveは、複雑適応系を意味しています。複雑適応系と検索すると、図で表されたりしています。部分が全体を作り(創発)、全体が部分に影響を及ぼしたりします(フィードバック)。また部分や、全体は、外部との情報のやり取りをしており、さらに自分も情報を発信し、相互作用しています。
このようなイメージで、コーヒーのドリップ技術を捉えることを指します。
コーヒーの場合は、
「蒸らし」の目的と、それを達成するための「やるべきこと」を知る
注ぐという技術の強い学習、弱い学習(さまざまなレベルで動作を習得する)
出したい味わいや、機材に合わせた注ぎ方に対応できる技能を身につけるプロセス
などです。
Reward : 報酬設計
学習をスタートしたり、継続するには「報酬」の設計が欠かせません。報酬に関わる要素は、以下の4視点で考えます。
外発的動機付け
外的報酬
内的動機付け
内的報酬
基本的に「内的動機付け」と「内的報酬」で、学習をスタートさせ、学習の継続をさせることが望ましいです。
しかし、仕事や成果を求めて、教室にやってきた場合、学習者が
不健全な外発動機付け(儚い希望)
不健全な外的報酬(すぐに、失敗せず、学ばず、苦労せず得たい、結果だけ欲しいなど)
を、持ち込む場合があります。
理想は、教室(学びの場所)に来る前に、これらを捨てておいてもらうことです。どうしても、持ち込まれた場合は、スタート段階で「学ぶこと自体が楽しい」という体験からスタートし、それを強化し続けるようにラーニングを進めていく必要があります。
コーヒーの場合は、趣味なので、失敗も楽しんでもらいやすいでしょう。
時々、美味しく入って喜ぶ
徐々に、味の細かい違いがわかって面白い
実験してみたら、すごく不味くなって面白い
毎回、工夫してたら、成長した
ブルーボトルコーヒーのバリスタを観察して、技を盗めて、やった!と思った
などの「楽しい」「面白い」「嬉しい」などの感情が報酬とするように設計、導きます。
Mental Model : メンタルモデル(複雑、非言語な)
最後に、Mental Model ですが、獲得すべきものは、「味わいが作られる物理シミュレーター」です。具体的には、
粒度
温度
飽和
時間経過とともに、抽出される成分の変化
フレーバーが水に移る現象
などになります。これらは、非線形になるため、何度も入れて、遊んでいるうちに「何となく」わかった気になります。そして、わかった!という時に、ある種のチャレンジをして正解が出たらOKですし、不正解なら、もう一度シミュレーターであるメンタルモデルを再構築します。
学習側には、楽しい体験として届ける
上記は、ラーニングをデザインする側の人間が考えることです。学習者は、このような裏側を知る必要はありません(本当は、少しだけでもいいから知った方が良いです)。
とにかく「楽しい!」って感じてもらって、次々とさまざまなワークをこなしていたら、気づけば上達していた!が理想です。
今回は、ワークショップではなく、ご自身で「独学」「自己主導型」で学習を行ってもらいます。
ワークショップ設計でも、コース設計でも、ウェビナーでも、書籍でも、「ラーニングの理論」で、自在に設計が可能です。
ということで、次からは「何から始めるのか?」を説明していきます。
是非、道具を揃えて、入れてみながら、ラーニングを学んでください!
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