【前回の内容】: フィードバック制御システムについて学びました。この視点を理解することで、今後のラーニングを理解を助けてくれます。今回は、総まとめをします。
講座の要約
このウェビナーでは、人間の認知と学習のメカニズムについて、統合的な理論的枠組みが提示されています。その核心は、私たちの脳が世界をどのように理解し、学び、適応していくかという点にあります。
まず基礎となる認知の仕組みとして、人間は具体的な事象から「メンタルモデル」と呼ばれる内的な模型を構築します。このメンタルモデルは、世界をシミュレーションする機能を持ち、私たちの行動や判断の基礎となります。科学的理論も本質的には同様の仮説形成・検証のプロセスですが、より厳密で体系的な形を取ります。
学習のプロセスは、このメンタルモデルを更新・改善していく営みとして理解できます。講師は学習を「弱い学習」と「強い学習」という2つの種類に分類しています。弱い学習は既存の行動パターンの最適化で、例えば繰り返し練習による自然な上達がこれにあたります。一方、強い学習はメンタルモデル自体の意識的な修正や再構築を含み、新しい知識や技術を積極的に取り入れることで実現されます。
このフレームワークの中で、探究と創造も同様の認知プロセスの異なる表現として位置づけられています。探究は既存のメンタルモデルでは説明できない未知のものを積極的に探す行為であり、問いはメンタルモデルを意図的に揺るがす抽象的な思考実験です。創造は新しいものを生み出そうとする過程で、結果的にメンタルモデルが修正される活動として理解されます。
この理論的理解は、教育実践への重要な示唆を含んでいます。現在の学校教育は主に弱い学習に依存していますが、より効果的な学習のためには強い学習を促進する必要があります。例えば、単純な反復練習ではなく、意識的な分析と改善を組み合わせることで、より深い学習が可能になります。講師はこのような介入を「ラーニングファシリテーション」と呼び、その重要性を強調しています。
これらの概念は日常的なスキル習得にも応用可能です。例えば料理技術の向上では、単なる経験の積み重ねを超えて、道具の選択や使用方法の意識的な改善、他分野からの知識の応用などを通じて、より高度な習熟が可能になることが示されています。
このように、このウェビナーは認知・学習・創造という一見異なる活動を統合的に理解する枠組みを提供し、より効果的な学習と教育のための理論的基礎を提示しています。
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